不倫慰謝料について

配偶者に不貞行為、簡単にいうと第三者との肉体関係があった場合、慰謝料請求が認められます。不貞行為がなく、単に食事をしたという程度では、事情にもよりますが、慰謝料請求は認められにくいでしょう。

慰謝料の金額は、不貞行為の期間、月何回会っていたか(程度)、不倫が原因で別居に至ったか等により総合的に評価されます。不倫の期間が1年よりも5年の方が、頻繁に会っていたり、不倫により夫婦が別居に至った方が慰謝料の金額は高くなる傾向にあります。もっとも、500万円以上となるケースは余り多くないでしょう。

不倫相手に対する慰謝料請求は、不倫相手が配偶者について婚姻していることを知っていたことが必要です。また、不倫相手を知ったときから3年を経過すると慰謝料請求は時効消滅するので、3年以内に請求する必要があります。

なお、不倫相手が慰謝料を支払ったあと、さらに不倫した配偶者も慰謝料を支払う必要があるかどうか(請求する側からいえば、不倫相手と不倫をした配偶者の両方から慰謝料をもらえるか)は、慰謝料全額が支払われたどうかによります。仮に慰謝料全額が300万円の場合、不倫相手が300万円全額を支払えば、不倫をした配偶者からは慰謝料をもらえませんが、不倫相手が100万円を支払ったにとどまるときは、不倫をした配偶者に200万円の慰謝料を請求できることになります。

Q 慰謝料請求を行う場合、相手方が不貞行為(不倫)を否定した場合に備えて証拠が必要と聞きましたが、不貞行為を立証する十分な証拠がない場合、慰謝料請求を諦めざるを得ないのでしょうか?また、逆に証拠がある場合であれば、弁護士に依頼するメリットはあるのでしょうか?
A 不貞行為を立証する証拠として、肉体関係を推認させる証拠(ラブホテルに一緒に入った写真、1人暮らしのマンションに夜間、数時間2人きりでいた証拠、一緒に泊まり込みの予行に行ったことを示す旅行会社の書類、肉体関係を示すメール等)がある場合であれば、裁判で慰謝料請求を行った場合に慰謝料請求が認められる可能性が高いと言えますが、そこまでの証拠がない場合でも、必ずしも慰謝料請求を諦める必要はありません。なぜなら、裁判になれば十分な証拠がないため慰謝料請求が認められないとしても、裁判外で慰謝料請求を行った場合に十分な証拠がなくとも、やましいところのある相手が自ら不貞行為を認めて、慰謝料を支払ってくる可能性があるからです。また、逆に不貞行為を示す十分な証拠がある場合、十分な証拠があれば、慰謝料請求を行うに際し、弁護士に依頼する必要はなさそうですが、到底判決で認められない金額を請求すると示談が成立せず、裁判となって費用や時間がかかるリスクがありますし、金額の交渉にはある程度、コツがありますから、「餅屋は餅屋」ではありませんが、交渉に長けている弁護士に依頼した方が、有利になる可能性が高いでしょう。