弁護士から内容証明郵便が届いた場合の対処方法について

婚姻関係で、弁護士から内容証明郵便が届いた場合、大きく分けて、

①離婚に関する場合

②不貞行為を原因とする慰謝料請求の場合

の2つがあります。どちらにせよ、突然のことであり、しかも弁護士名で、何日以内に回答せよとか、何日以内に支払え、という内容であって、驚かれると同時に、どう対処すればよいか困惑されるでしょう。

対処方法としては、

まず、相手の弁護士に連絡する前に法律相談に行くことをお勧めします。

次に、相手の弁護士とご自身でやり取りをする場合、(自分の弁護士に相談しないで)①相手の主張する事実(言動、暴力、不倫)を容易に認めないこと、②一定の金額を支払うと述べないこと、をお勧めします。事実を一旦認めると後で事実を争うことになった場合、相手から「交渉段階で事実を認めていた」と主張され、不利になります。また、一定金額を支払うと述べると、慰謝料の場合、慰謝料発生の前提となる不貞や暴力を認めたことになりますし、判決が出た場合に予想される金額よりも高い金額を支払うと述べていた場合、のちに調停や裁判で、最初に述べていた金額よりも少ない金額の主張をしても、調停や裁判よりも前の段階で提示された金額をもらえると相手が期待したため、調停や裁判となっても、なかなか当初述べていた金額よりも少ない金額の和解に応じない傾向があるからです。

注意点は、早く相手の弁護士に回答しようと焦らないことです。ケースにもよりますが、離婚請求の場合は、離婚裁判の前に離婚調停を申し立てる必要がありますので、〇日以内に回答することを求められた期限を過ぎても、すぐに離婚裁判を提起されることはありませんし、調停の申立についても、内容証明郵便に「調停を申し立てた」と書いていない限り、調停を申し立てられるまで猶予があることが多いでしょう。もっとも婚姻費用を請求された場合には、調停を申し立てた月からしか婚姻費用を請求できないことが多いことから、内容証明郵便が届いた月の月内中に婚姻費用の調停が申し立てられる可能性があります。

慰謝料請求の場合でも、当職の経験から言えば、「何日以内に支払わないと法的手段を取る」と書かれていても、期限を過ぎてすぐに裁判を提起されることは少ないと思われます。