やりなおし円満調停について①
いわゆる離婚調停というのは、正確には夫婦関係調整調停申立といいます。そして夫婦関係調整調停申立には、婚姻関係を解消する方向の離婚調停と婚姻関係を維持する方向の円満調停があります。
円満調停も離婚調停も話合いの仕方は同じです。
調停の日が来たら、家庭裁判所の受付に行き、指示された待合室で待ちます。待合室は夫婦別々です。待合室で待っていると、調停委員が呼びに来ます。調停委員が待っている部屋(法廷ではありませんので傍聴人はいません)に行くと、2名の調停委員(年配の男性1人、女性1人)から話を聞かれます。調停委員は、夫婦を一人ずつ部屋に呼んで、交互に話を聞きます(夫婦が同時に部屋に入って調停委員から話を聞かれるのではありません。通常、夫婦が同時に部屋に入るのは調停がまとまりそうな段階です)。自分の要求は調停委員を通じて相手に伝えます。また相手の回答や要求も調停委員を通じて聞きます。1回の調停は2時間程度です。何回か調停期日を重ねて、話合いがまとまると、調停調書を作成します。
離婚調停と異なるのは、やり直すための取り決めについて話合うことです。もっとも、円満調停を申し立てた方がやり直したくても、他方が離婚の意思が強い場合、離婚したい方の気持ちを翻すのは容易ではありません。ただ、可能性が低くともチャレンジしなければ可能性が生まれないと思いますし、相手に聞いておきたい質問があれば調停が事実上最後の機会になることも多いでしょうから、聞きたい質問があれば調停委員を通じて相手に聞くことをお勧めします。
Q 円満調停では相手にやり直すことを強制できるのでしょうか?また同居することを強制できるのでしょうか?円満調停は法律的な問題を解決するというよりも、やり直すことを試みたり、日常のルールを決めるようにするものと聞きましたが、弁護士に依頼した場合、自分が行う場合に比べて、どういったメリットがあるのでしょうか?
A 円満調停でも相手にやり直すことや同居することを強制できません。話合いで相手が同意しなければ、やり直すことや同居することは実現しません。やり直すことや日常のルールを決めることは法律の問題でなく、相手が納得しなければ実現しません。ご本人の気持ちが相手に伝わって納得するかどうかが重要です。その意味で法律の専門家である弁護士であっても、相手を説得させることは困難です。しかしながら、弁護士は調停手続に精通しているため、相手に問いかける場所やタイミングをアドバイスできます。また、円満調停がうまくいかなかった場合、離婚の方向の話合いになる場合がありますが、その場合には不利益にならないようにアドバイスできます。
Q 対面調停という言葉を聞きました。調停では、調停室に交互に入って調停委員と話をするのが普通であって、調停室で相手と対面するのは、調停が成立するときぐらいだと聞きましたが、対面調停とはどういったものなのでしょうか?
A 原則として調停では、当事者は交互に調停室に入り、調停委員は一方当事者から交互に話を聞きますが、例外的に当事者が相手と対面することを承諾した場合で、調停委員会(調停委員と裁判官から構成されます)も対面調停が適切であると認めた場合、両当事者が対面する形で調停が行われることがあります。両当事者が対面した形で行う調停を対面調停と呼んでいます。一部の家裁で実際に行われている対面調停のやり方は、調停室に両当事者が同席した上で(代理人がついている場合は代理人も同席)、一方当事者が調停委員と話をしていることを黙って聞き、話している最中に話し掛けないというものです。