慰謝料について
配偶者が不倫(不貞行為)をしたり、暴力を振っていた場合(DV)等は、精神的苦痛、肉体的苦痛に対する損害賠償として、慰謝料を請求することができます。慰謝料の金額は、期間・程度・態様等により総合的に評価されますので、一律に決まったものではありません。もっとも、具体的な事情を聞けば、どれくらいかの意見を述べることは可能です。
慰謝料請求については、その存否を争われることが多いので、写真、メール、興信所の報告書(不倫の場合)、日記、医者の診断書(DVの場合)等を準備することをお勧めしています。
また、慰謝料請求は、不倫の相手方に請求する場合、知った時から3年以内に請求しないと消滅時効にかかりますので注意が必要です。
[女性の方へ]
Q 夫の不倫相手には、私が被った精神的被害を考え、相応に懲らしめたいと思います。どういった方法が効果的なのでしょうか?不倫相手が開き直って、お金がないと主張した場合はどうするのでしょうか?
A 方法は、内容証明郵便、訴訟提起、慰謝料の支払、差押です。弁護士名で内容証明郵便で慰謝料請求をされた場合、しかも内容証明郵便に数百万円の慰謝料請求と期限までに慰謝料を支払わなかった場合に訴訟提起を検討する旨が記載されていたら、通常の人は平気ではないでしょう(無視されれば、訴訟提起する前にもう一度、確認を兼ねて内容証明を出します)。訴訟提起すると、不倫相手に裁判所の封筒で裁判の期日の知らせと一緒に訴状が届きます。訴状と裁判の期日の知らせが届いて平気な人も少ないでしょう。話合いが成立した場合、不倫相手は相当額の慰謝料の支払をすることになりますから、懲らしめられたことになるでしょう。判決がでても慰謝料を支払ってこない場合、不倫相手の給与や預貯金の差押を行います。預金や給与を差し押さえられて堪えない人は少ないでしょう。
不倫相手が開き直って、お金がないと主張したとしても、不倫相手から納税証明書の提出を受ければ収入額を確認できますし、通常、少なくても何らかの収入がある場合が多いでしょうから、判決を取得して少しでも差押されれば、真実、収入が少なかったとしても、不倫相手は堪えるでしょう。
【男性の方へ】
Q 不倫やDVがあったとして、妻から慰謝料請求されていますが、納得できません。裁判で争った場合に相手の慰謝料請求が認められるかどうか予想できるのでしょうか?
A 不貞行為(肉体関係)やDVがなかったと争った場合、不貞行為やDVがあったと主張する方が事実を立証する必要があります。そこで、相手の主張が認められるかどうかは、不貞行為やDVの証拠(証言も含みます)を相手方が提出できるかどうかによります。 不貞行為であれば、女性とホテルを利用したときの写真や肉体関係があったことを推認させる内容の女性宛のメールを相手が入手していた場合、相手の主張が認められる可能性が高いでしょう。また、DVであれば、診断書の他、警察への通報がなされていた場合や子供が見ていた場合には、相手の主張が認められる可能性が高いでしょう。なお、単に女性と食事をしたという程度であれば、不貞行為には該当しないため、頻度と程度にもよりますが、相手の慰謝料請求が認められる可能性は低いでしょう。
Q 私が不倫(不貞行為)したところ、妻は相手の女性に慰謝料請求を行い、相手の女性から300万円を受け取りました。それにもかかわらず、妻は、私に対しても、その女 性との不貞行為について慰謝料を求めています。私も慰謝料を支払う必要があるのでしょうか?
A 不貞行為をした以上、あなたと相手の女性は、妻から慰謝料請求がなされた場合、慰謝料全額を支払う必要がありますが、あなたか、相手の女性のどちらかが慰謝料全額を支払った場合には、それ以上、支払う必要はありません。 そこで、相手の女性が支払った300万円が慰謝料全額であった場合、あなたは妻に 対して慰謝料を支払う必要はありませんが、300万円が全額でなかった場合(ex500万円が全額であった場合)には、残り(200万円=500万円-300万円)を支払う必要があります。 しかしながら、慰謝料は、不貞行為の期間・程度・態様等により総合的に評価されますので、被った精神的苦痛に対する慰謝料全額がいくらかということは、判決が出れば確定しますが、それまでは幅のある金額で予想できるに過ぎません。300万円という金額が慰謝料全額かどうかは、不貞行為の期間・程度・態様等により、ある程度は予想できるものの、裁判で判決が出るまでは確定しません。 不貞行為の期間が2,3か月に過ぎず、不貞行為が原因で別居に至っていない場合、その他の状況にもよりますが、300万円以上の金額を支払わなければならない可能性は余り高くありませんが、不貞行為の期間が5年にも及び、不貞行為が原因で別居に至っている場合には、300万円以上支払わなければならない可能性(300万円が慰謝料全額でない可能性)は十分あります。