円満調停(やり直し)の本質と限界について
やり直したい人のために、裁判所の調停の制度として円満調停(正式には夫婦関係調整(円満)調停といいます)があります(『やり直したい!弁護士ではなく相手と話したい!』『やりなおし円満調停について①②』も参考にしてください)。
当職の経験から円満調停の本質と限界について説明します。
円満調停は夫婦関係のやり直しを求めるものです。しかしながら、夫婦関係のやり直しについては、夫婦関係といった互いの個人の意思決定、今後の人生のあり方に深く関わるもので、個人の意思決定が尊重されるものであることから、裁判所の強制力をもって、やり直すことを強制できるものではありません(限界)。あくまで、円満調停は、裁判所で調停委員を通じて行う話合いの機会に過ぎません(本質)。そして、その他の調停と同様に、出頭する義務も話し合いに応じる義務もありません(限界)。
しかしながら、当事者同士でやり直しの話合いができなかったり、話合いが進まなかった場合に、第三者、しかも裁判所により選任された調停委員に間に入ってもらって調整を試みることができるという意味では貴重な手段と言えます。
現状にどうしても納得できない、第三者に入ってもらってやり直しを試みたいという方は円満調停の申立てを検討してもよいと思います。
婚姻関係を解消する離婚調停の場合と異なり、円満調停の本質は(離婚原因があるか、婚姻費用、養育費がいくらとなるか等という意味での)法律論ではありませんので、円満調停を弁護士に委任するかどうかは、費用を掛け、やり直しを試みる方法(相手方への手紙、対席調停の申し入れ等)を弁護士と一緒に考えてチャレンジするかどうか、ということになります。
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