年金や失業保険の受給を受けている場合の婚姻費用の算定について

婚姻費用は、双方の収入を基礎にして算定されます。では、年金を受給している場合や失業保険を受給している場合でも、給与所得者と同じように扱うのでしょうか。

答えは、給与所得者と同じように扱いません。

給与所得者について婚姻費用を定める場合には、給与所得者として就労するための必要な経費である職業費が考慮されています。年金を受給している場合、年金を得るために就労の必要がないため、就労するための経費を考慮する必要がありません。また、失業保険の受給を受けている場合も就労していませんから、就労するための経費を考慮する必要がありません。そこで、実際の年金収入や失業保険の受給額よりも多い金額を婚姻費用の算定の際の基礎にします。裁判例では年金収入について、0.8で除した金額を収入としたものがあります(この裁判例に従うと、年金収入が100万円であった場合、100万円を0.8で割りますから、婚姻費用の算定においては、125万円の収入があるものとして算定することになります)。